超密度符号化

もつれをほどく

量子もつれ状態を元に戻す回路

量子もつれ状態は、ほどいてもつれのない状態に戻すことができます。 元に戻すには、量子もつれを作る回路の逆演算となる回路を作ります。 逆演算回路を作るために、元の量子回路をもう一度よく見てみましょう。

まず、右側の CNOT を消すことを考えます。 CNOT の逆演算は CNOT なのでCNOT ゲートを参照、CNOT を次のように 2 つ並べます。

すると CNOT 2 個が消え、H ゲート 1 つだけの回路になります。

こうなると後は簡単です。 H ゲートの逆演算は H ゲートなのでH ゲートを参照、H ゲートを並べます。

すると 2 個の H ゲートが消え、もつれ回路は消えました。

以上をまとめると、量子もつれ状態を作ってから逆演算回路によってもつれをほどく量子回路は次のようになります。 真ん中の CNOT 2 つが消え、次に H ゲート 2 つが消えることで確かに逆演算になっていることが分かります。

量子もつれを作る H と CNOT の量子回路をベル回路物理学者ジョン・スチュアート・ベルに由来します。ベルは量子もつれが存在することを決定付けることとなったベルの不等式とベル実験の考案者として有名です。と呼び、ベル回路によってできる量子もつれ状態をベル状態またはベルペアと呼びます。 ベル状態をほどいて元に戻す回路を逆ベル回路と呼びます。 つまりこの量子回路は、ベル回路の後に逆ベル回路を並べたものです。

ベル状態 (ベルペア)

逆ベル回路の使いみちは、もつれをほどくことで、もつれに対して行ったゲート操作の結果を取り出すことです。 もつれに対して行うゲート操作については、次の節で詳しく説明します。