量子テレポーテーション
長距離間の量子もつれ
量子テレポーテーションで離れた量子もつれを作る
多段テレポーテーションではボブからアリス、アリスからキャロルへとバケツリレーのように短い距離の量子テレポーテーションを繰り返して量子ビットを送りました。
$$ボブ \longleftarrow\longrightarrow アリス \longleftarrow\longrightarrow キャロル$$
遠く離れたボブとキャロルの間に直接量子もつれを作るにはどうしたらよいでしょうか? 量子もつれは壊れやすいため、離れた距離に運ぼうとすると高い確率でもつれは切れてしまいます。
量子テレポーテーションを使えば、遠く離れたもつれを作ることができます。 近距離にいるボブとアリスが共有した量子もつれのうち、アリスの持つ量子ビットを量子テレポーテーションによってキャロルに送ります (アリスとキャロルの間にある短い量子もつれを使います)。 すると、遠く離れたボブとキャロルの間でもつれた量子ビットが共有されます。 つまり、もつれた量子ビットの片割れを量子テレポーテーションで移動することで、遠く離れたもつれを作り出すことができます。
次の回路では、ビット 1 と 2 がボブとアリスで共有された量子もつれを表します。 アリスは量子テレポーテーションによってはビット 2 をキャロル (ビット 4) へ送ります。 すると、ビット 1 と 4 の間で離れた量子もつれを作ることができます。
ビット 1 と 4 がもつれていることは、最後のステップの状態ベクトルを表示することで確認できます。 確率がゼロでない値は \(|0000\rangle\) と \(|1001\rangle\) や \(|0110\rangle\) と \(|1111\rangle\) のように、必ずビット 1 と 4 が同じ値になります。このため、確かにもつれていることが分かります。
チャレンジ
長距離間の量子もつれを使った長距離テレポーテーション回路を Qni で書いてみましょう。 消費される量子もつれは全部で 3 つです。 最初に上の回路と同様に、2 つの量子もつれを使って離れた量子もつれを作ります。 次にその量子もつれを使って量子ビットをテレポーテーションします。