QPU 命令その 1

MEASUREMENT 命令

量子ビットから 0 または 1 を読み出す

MEASUREMENT 命令 は量子ビットから 0 または 1 (\(|0\rangle\) または \(|1\rangle\)) の値を読み出します。 この読み出す操作 (Measurement) を測定または観測と呼びます 本チュートリアルでは全体を通して Measurement の訳語に測定を使います。。 量子コンピュータの計算結果を何らかの形で利用するには、必ず を実行する必要があります。

単純な状態の測定

量子ビット状態が \(|0\rangle\) または \(|1\rangle\) の場合に を作用させた結果は次の通りです。 それぞれ測定すると、そのまま同じ \(|0\rangle\) と \(|1\rangle\) が返されます。

重ね合わせ状態の測定

量子ビットが重ね合わせ状態にある場合、0 と 1 が出る確率は \(|0\rangle\) と \(|1\rangle\) の確率 (青い円の面積 = 振幅の大きさの 2 乗) に応じて決まります。 このように、測定の結果にはランダム性があります。

25%
75%

測定によって量子ビットの振幅の大きさと位相の情報は破壊されるので、 と同じく逆演算を持ちません。 また、位相と振幅の大きさは互いに独立したパラメータなので、位相の値は測定結果にまったく何の影響も及ぼしません。

量子乱数ジェネレータ

とこれまでに学んだ を組合わせることで、最初の量子アプリケーション「量子乱数ジェネレータ」を作ることができます。 で \(|0\rangle\) に初期化した量子ビットを で重ね合わせ状態にし、 で測定することで 0 または 1 をランダムに得ることができます。

重ね合わせ状態を測定して得られる量子乱数は、従来のコンピュータで計算的に生成する疑似乱数と異なり、原理的にまったく予測できない完璧な乱数です。 単なる乱数生成と言ってもその用途は広く、セキュリティ分野での安全な暗号鍵の生成はもちろん、モンテカルロ法といった乱数を使ったアルゴリズムの速度や精度向上にもつながります。 実際に、量子乱数の生成はすでにサービス化もされていますCambridge Quantum社、量子乱数生成サービス「Quantum Origin」を発表